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2011年2月10日

愛おしい骨(キャロル・オコンネル)


15歳だった弟ジョシュが森で行方不明になった!
森からひとりで戻ってきた兄オーレンは、当時17歳だった。彼は、20年ぶりに帰郷する。それは、「何者かがジョシュの骨を毎晩ひとつずつ玄関先に置いてゆく。」という連絡を受けたからだった。ジョシュの死に隠された衝撃の真実とは?

骨になって帰ってきたジョシュ。たくさんいる登場人物の誰もが、何らかの形で彼の死に関わっていることが明らかになっていく・・・。心に屈折した思いを抱えている彼らひとりひとりの個性が、実によく描かれている。「いったいどういう形で彼らはジョシュの死に関わっているのか?」それが早く知りたくて、ページをめくる手が止まらなかった。そして、秘密が明らかになるにつれ、驚きが波のように襲ってきた。バラバラだったピースが正確にはめ込まれ、やがて「真実」という壮大な作品ができあがる。その緻密な構成力は読み手をうならせる。ラストへの持って行き方も見事!人間の持つ弱さ、醜さなどをまざまざと見せつけられ、ほろ苦さや切なさも味わった。登場人物が多く読むのにちょっと苦労したが、読み応え充分の満足感が味わえる作品だった。

ゆこりん : 19:42 | 作者別・・き他