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2011年1月12日

雷の季節の終わりに(恒川光太郎)


雷の季節に失踪した姉。姉の失踪と同時に「風わいわい」に取り憑かれた賢也は、その事実を隠し、不思議な空間「穏(おん)」で生きていこうとする。だが、その暮らしは長くは続かなかった。あるできごとがきっかけで、賢也は穏から逃亡した。彼を待ち受けていた運命は?

失踪した姉は生きているのか?死んでしまったのか?なぜ姉が失踪しなければならなかったのか?なぜ姉の失踪と同時に賢也に「風わいわい」が取り憑いたのか?逃亡する賢也の物語とそれらの謎を解き明かす物語が交錯する。一見何の関係もないように思えるふたつの出来事が結びついたとき、姉と賢也の悲惨ともいえる過去が浮かび上がってくる・・・。
ホラー的な部分もあるが、ひとりの少年の成長物語的なところもあり、読み応えがあった。不思議な雰囲気を漂わせる、独特の世界観を持った作品だと思う。

ゆこりん : 19:38 | 作者別・・つ他