« あるキング(伊坂幸太郎) | メイン | 虚栄の肖像(北森鴻) »

2011年1月 7日

BOX!(百田尚樹)


電車の中で、マナー違反の高校生を咎めようとした耀子は、逆に高校生たちにからまれた。危機的な状況から救ってくれたのは、乗り合わせたひとりの少年だった。彼は、耀子が勤める高校の生徒で、ボクシング部に所属していた。ひょんなことから耀子も「ボクシング」に関わっていくことになるのだが・・・。ボクシングの世界を、さわやかに描いた作品。

ボクシングというスポーツが持つ繊細さ、奥深さ、そして残酷さが、余すところなく描かれている。それは、今まで知らなかった部分で、かなり興味を持って読んだ。
天性の才能を持つ天才ボクサーの鏑矢。彼にあこがれ、彼に追いつくべく努力を重ねる木樽。そして、それを見守る顧問の高津耀子。最強のライバルとの闘いはいったいどうなるのか?試合のシーンの描写は圧巻だった。ラストも、無難にまとめられている。全体的には面白いと思うが、耀子と鏑矢・木樽との出会い、ボクシングの過酷な練習、丸野のエピソードなどなど、それらはどれも漫画的だった。最初からドラマ化やアニメ化を意識して書いたような印象も受ける。そこのところが多少気になるが、まあまあそれなりに楽しめる作品だと思う。

ゆこりん : 19:50 | 作者別・・ひゃくたなおき