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2010年12月13日
1Q84 BOOK3(村上春樹)
「さきがけ」のリーダーを殺害した青豆の行方を追う牛河。安全な場所への移動を拒み、ひたすら天吾に会うことだけを思い続ける青豆。一方天吾は、自分の部屋にふかえりを匿ったまま、眠り続ける父と対峙するため父のいる街へと向かう。天吾と青豆は再会できるのか?彼らはもとの世界に戻れるのか?
月がふたつある1Q84の世界にいるふたり。青豆はそれが不可抗力ではないことを知る。「いるべくしているこの世界。」そう感じたとき、青豆はこの世界にいる意味を考え始める。その考えの行き着く先には天吾がいる!命を懸けた青豆の思いは届くのか?1984の世界に再び戻ることができるのか?この作品を読んでいると、確かな世界などどこにも存在しないような気がする。何を信ずるべきか?信ずるに値すべきことはいったい何か?自分が今ここに存在するのはいったいなぜか?世界の本質、人間の本質が、作者に問われている。読み手はその作者の問いに答えられるのか?答えられずにたじろいでいる自分がいる。たぶん、これから一生をかけてその答えを見つけなければならないのだろう。次はどんな世界が、天吾と青豆を待っているのか・・・。楽しみと不安が入り混じる。本当に深いものを抱えた作品で、読み応えがあった。満足♪
ゆこりん : 18:11 | 作者別・・むらかみはるき