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2010年11月 2日

リミット(五十嵐貴久)


お笑い芸人の奥田は、ラジオの深夜放送の番組でカリスマ的な存在だった。その番組、「オールナイト・ジャパン」に自殺予告のメールが届く。放送終了後に、誰かが自殺する!限られた時間の中で、彼らは差出人を見つけ出し、自殺をとめることができるのか!?

限られた時間の中、ラジオではメールの差出人への呼びかけが続く。「何とか自殺を思いとどまらせたい。」奥田やディレクターの安岡たちの必死な行動は実を結ぶのか?こういう状況を読むならば、やはりそれなりの緊迫感がほしかった。必死な思いが読み手側にきちんと伝わってこない。それに、"カリスマ"と呼ばれる奥田のトーク内容も、まったく魅力を感じなかった。「これで、何万人ものリスナーを惹きつける魅力があるのか?」と、かなり疑問に感じた。もう少し話す内容を考えるべきではなかったのか。同じことの繰り返しばかりの薄っぺらい話は、うんざりするばかりだ。ラストの展開も都合がよすぎてわざとらしく、読後感もよくなかった。タイトルを見て期待して読んだのだが、ちょっとがっかりした作品だった。

ゆこりん : 18:18 | 作者別・・いがらしたかひさ