« アリアドネの弾丸(海堂尊) | メイン | リミット(五十嵐貴久) »

2010年10月28日

そして誰もいなくなる(今邑彩)


学校の開校100年記念を祝う七夕祭りで、演劇部がアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」を上演した。だが、毒を飲み死亡する役の生徒が舞台上で実際に死んでしまった。その後も、この劇の筋書き通りの方法で生徒が次々と殺されていく。この劇に出演していた江島小雪は顧問の向坂典子とともに犯人を突き止めようとするが、そこには衝撃的な真実が待っていた・・・。

劇の筋書き通りの手段で次々と生徒たちが殺されていく。犯人は?そしてその動機は?次に誰が殺されるのか分かっているのに防げない。そのあせりと緊迫感が、読んでいてこちらにもしっかりと伝わってくる。ストーリーは二転三転し、長いけれど飽きずに最後まで読むことができた。意外な展開。意外な犯人。よく考えられ、そしてよくまとめられた作品だと思う。ただ、あまりにも有名で高評価の作品をベースとしてしまっているので、どうしてもそちらと比較してしまう。比較すると、やはりこちらの作品が霞んでしまう。それがこの作品のマイナスポイントになっているのが残念だった。

ゆこりん : 19:15 | 作者別・・いまむらあや