« ふたりの距離の概算(米澤穂信) | メイン | そして誰もいなくなる(今邑彩) »

2010年10月24日

アリアドネの弾丸(海堂尊)


通称コロンブスエッグと呼ばれる縦型MRIの撮像室で、死体が発見される。事故死か?不審死か?さまざまな人間の思惑が入り乱れる中、今度は元警察庁刑事局局長がコロンブスエッグの前で死んでいた・・・。そして、彼を射殺した容疑が、東城大学医学部付属病院院長の高階にかけられた。おなじみのコンビ田口と白鳥は、高階の無実を証明できるのか?そして事件の真相とは!?

72時間という限られた時間内に、高階院長の無実を証明しなければならない。しかし高階は眠ったままで、事情を聞くどころか面会さえ許されない状況だ。乏しい状況証拠の中から、田口と白鳥は真実を見つけ出すことができるのか?かなりよく練られたストーリーだ。北川局長の死因も、MRIを熟知した作者だからこそ描けるのだと思う。司法側と医療側の対立。解剖か画像診断か?現実にある問題も巧みに織り込まれていて、少々理屈っぽくも感じるが、なかなか興味深い内容になっている。途中、冗長的な部分があり読んでいて中だるみしてしまったが、全体的にはよくまとめられた作品だと思う。

ゆこりん : 16:31 | 作者別・・かいどうたける