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2010年10月18日

ふたりの距離の概算(米澤穂信)


「いったい何があった?」
高校2年生になった折木奉太郎が所属する古典部に、新入生の大日向友子が仮入部した。だが彼女は、突然入部を断る。原因は千反田にあるらしいのだが、千反田は人を傷つける性格ではない。マラソン大会が終わるまでに何とかしなければならない奉太郎は、走りながら真相に迫ろうとする・・・。古典部シリーズ第5弾。

マラソン大会当日、奉太郎は走る。そして、走りながらひとつひとつの出来事を検証する。それぞれのしぐさや態度、何気なくかわされた会話の中から、まるでジグソーパズルのように、真相につながるピースを拾い集めてははめ込んでいく。人は心にやましいことがあると、必要以上に物事を深刻に考えてしまう。そういう心理状態を作者は巧みに描いている。さて、最後のピースをはめ込み完成させたとき、「真実」はいったいどんな姿を現すのか・・・?テーマとして、人間関係の難しさも織り込まれた、まあまあ読み応えのある作品だった。

ゆこりん : 17:21 | 作者別・・よねざわほのぶ