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2010年10月13日

天空の蜂(東野圭吾)


最新の技術を導入して製造された大型ヘリコプターが奪われた!爆薬を搭載して原子力発電所の真上でホバリングする無人のヘリコプター。犯人の要求を受け入れるのか?燃料切れというタイムリミットの中で、はたして解決策はあるのだろうか・・・。

爆薬を搭載させた無人の自動操縦のヘリコプターの真下には原子力発電所がある。犯人の要求を受け入れるわけにはいかない政府。だが、非情の決断が最悪の事態を招くこともある。さらに、ヘリコプターの内部には・・・。
限られた空間、限られた時間、そして地上の人間にできることも限られている。そんな状況で、時間だけがどんどん過ぎていく。冒頭の衝撃的なできごとからラストまで、緊迫感が持続していく。いったい最善の解決策などあるのだろうか?読んでいて絶望的な気持ちになってくる。だが、最後の最後まであきらめない人たちがいる。わずかな希望に賭ける彼らの行動はすばらしかった。
犯人にとって、ヘリは「天空の蜂」の役割を果たしたと言えるのか?彼がなぜこんな行動を起こしたのか?彼は何を言いたかったのか?この作品を通して、考えることも多かった。面白さと重いテーマを持つ、読み応えのある作品だった。

ゆこりん : 18:12 | 作者別・・ひがしのけいご