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2010年9月13日

ゆんでめて(畠中恵)


「もしあの時、進む方向を変えなければ・・・。」
一瞬の判断がその後の一太郎の運命を変えた。屏風のぞきが行方不明になった原因は自分にあると思った一太郎は、屏風のぞきを見つけ出すために評判の事触れに会いに行くとこにした。そこで起こった出来事とは・・・。表題作を含む5編を収録。しゃばけシリーズ9。

「もしもあの時・・・。」そう思うことは誰にでもある。それが、取り返しのつかないことにつながるとしたら・・・。「進むべき道は右か左か?」一太郎にとってこの差はあまりにも大きかった。大切な友である屏風のぞきの行方がつかめない。悔やんでも悔やみきれない。「あの屏風のぞきが!?」読んでいる方も、どうなってしまったのだろうと心配しながらページをめくっていく。しゃばけシリーズに必ず登場していた屏風のぞきが、このシリーズで姿を消してしまうのか!?だが、ラストに待っていたのは意外な結末だった。この作品の巧みな構成はこの結末を導き出すためだったのかと、読み終えてから納得した。得るものがあれば失うものがある。この当たり前のことが、この作品では強く生きている。期待を裏切らない、楽しめる作品だった。

ゆこりん : 20:12 | 作者別・・はたけなかめぐみ