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2010年8月 9日

回廊亭殺人事件(東野圭吾)


莫大な財産を残して一ヶ原高顕が死んだ。妻子がいない彼の財産は、きょうだいたちに分配されることになった。「回廊亭」に集まった一族。そして、そこに菊代という老婆が招待される。菊代の本当の目的は、半年前回廊亭で起きた心中事件の真相を知ることだった。だが、その回廊亭で新たな殺人事件が!

一ヶ原高顕の残した巨額な財産。それに群がる一族の者たち。醜い争いが繰り広げられるのはよくあるパターンだ。だが、作者はそのありふれたパターンを独自の発想で斬新なものに仕上げている。菊代は正体がばれないのか?、殺人事件の犯人は?そして心中事件に隠された真相とは?読み手はどんどん作品に引き込まれていく。面白いとは思う。けれど、どこか不自然なところもあり、疑問も残る。「はたして、こんなにうまくいくものだろうか?」と。そして、ラスト!このトリックは是か非か?いつも思うのだが、読み手をこんなふうにだますのは、フェアではないと思う。結末も安易な感じで、後味があまりよくなかった。

ゆこりん : 16:54 | 作者別・・ひがしのけいご