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2010年7月21日

ないしょ ないしょ(池波正太郎)


「私を手ごめにした神谷弥十郎のことなどどうでもいい。」
そう思っていたお福だったが、旧主神谷弥十郎を殺した男を見つけたときには怒りで体が震えた。女だてらに手裏剣を習い、そして秋山小兵衛の助太刀を得て、お福は旧主の仇を討つ!!剣客商売シリーズ番外編。

ずっと読み続けてきた剣客商売シリーズも、これで最後となった。
この作品では、お福の波乱に満ちた生涯を描いている。神谷弥十郎に陵辱され失意のどん底にいたお福だったが、神谷の無念の死が彼女の運命を大きく変える。新発田から江戸へ出てきたお福は、偶然神谷を殺した松永市九郎を見つける。彼女は、手裏剣の腕を磨き、松永を討とうとする。そんなお福の仇討ちを手助けしたのは、若き日の秋山小兵衛だった。そのほかにも、おなじみの人物があちこちに顔を出す。剣客商売シリーズに登場する人物の別の面を垣間見るのは、読んでいてとても楽しい。人びとの何気ない日常の暮らし、勧善懲悪の爽快さ、そして人生のはかなさや切なさなど、さまざまなものもこの作品にはちりばめられている。読み応えのある1冊だった。

ゆこりん : 16:59 | 作者別・・いけなみしょうたろう