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2010年4月20日

永遠の0(百田尚樹)


終戦から60年目、健太郎は姉に頼まれ、わずか26歳で戦死した祖父について調べることにした。必ず生きて帰ると妻に約束しながら無念の戦死を遂げた祖父。彼の人生をたどるうちに見えてきた真実とは?

娘のため、妻のため、必ず生きて帰ると約束した祖父・宮部久蔵。だが、厳しい戦況ではその約束を果たすのは不可能に近かった。健太郎がたどる祖父の軌跡・・・。ある者は久蔵を卑怯者で弱虫と言い、ある者は久蔵を尊敬していると言う。「いったいどれが本当の祖父の姿なのか?」調べを進めていくうちに見えてきたのは、祖父の人生だけではなかった。戦争の悲惨さが、健太郎や姉の慶子だけではなく、読み手である私にも痛いほど伝わってくる。勝利の可能性などどこにもない。それなのに兵隊たちは上部の者たちの捨て駒にされていく。爆弾を抱えたまま敵艦に突っ込んでいく特攻隊の描写は、読むのが本当につらかった。また、宮部久蔵が生きて家族のもとに帰ることができなかったと知ってはいても、「どうか、生き延びてほしい。」そう願わずにはいられなかった。久蔵の切ない生と死のドラマをまざまざと見せつけられ、それだけでも感動で目がうるんでいたのに、ラストに語られる意外な真実では、ついにこらえることができなかった。ただ、涙、涙、涙。読後も強い余韻が残った。ひとりでも多くの人に読んでもらいたい、感動的な作品だった。

ゆこりん : 17:28 | コメント (2) | 作者別・・ひゃくたなおき


コメント

お久しぶりです。
ブログ、お引越しました!
今後もよろしくお願いします。
私も先日この作品を読みました。

名前のリンクに記事を貼っておきますね。
多くの人に読んで欲しい一冊だと私も感じました。

投稿者 とまと : 2010年4月23日 14:42

>とまとさん
こんにちは~♪
返事が遅くなってごめんなさい!!
ホント、お久しぶりですね。
ブログを引っ越したのこと。さっそくうかがいます。
こんなに感動した作品は久々です。
大切な1冊になりました。

投稿者 ゆこりん : 2010年4月27日 17:18