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2010年2月18日

浮沈(池波正太郎)


26年前、秋山小兵衛が助太刀した滝久蔵は、見事に父の敵を討ち富山に帰った。さぞかし立派な武士になっているだろうと思っていた小兵衛だが、立ち寄った店で偶然落ちぶれた滝久蔵の姿を見る。しかも久蔵は、何やら良からぬことを企んでいた・・・。「剣客商売」シリーズ16。

いよいよ剣客商売シリーズも最終話となった。
見る影もなく落ちぶれ、しかも悪事に手を染めている。そんな滝久蔵を、小兵衛は複雑な思いで見つめるのだが・・・。さまざまな人間の思惑が入り乱れ、今回も目が離せない展開になっている。相手が誰であれ、正義を貫くためには容赦しない秋山小兵衛の潔さは見事だ。複雑に絡み合ったいろいろな事件をどう収束させていくのか?そこのところも充分読み応えがあった。
勧善懲悪の爽快さ、人生の悲哀や浮沈、人情、時の流れ、そして老い・・・。どの話にも深い味わいを感じる、面白いシリーズだった。

ゆこりん : 16:55 | 作者別・・いけなみしょうたろう