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2010年2月 4日
二十番斬り(池波正太郎)
原因不明の目まいが小兵衛を襲う。自分の老いを感じる小兵衛だが、その目まいを吹き飛ばすようなできごとが起こる。小兵衛宅の物置に逃げ込んだのは、恩師辻平右衛門に関わりのある井関助太郎だった。しかも、その助太郎は、何か訳ありの小さな男の子を連れていた・・・。表題作を含む2編を収録。「剣客商売」シリーズ15。
シリーズが進むにつれ、登場人物たちも年を重ねる。若い人が成長する過程を読むのは楽しいが、小兵衛のように老いていく過程を読むのは、少々つらいものがある。そうは言っても、小兵衛はまだまだ元気でまだまだ強いのだが。この作品では、小兵衛の老いと小兵衛の強さを同時に感じた。井関助太郎を助けたことにより、大勢の敵と戦わなければならなくなった小兵衛。しかも、妻三冬の父田沼意次の身の上に起こった大事件のため、大治郎の力も当てにできない。たったひとりで二十数人を相手にした小兵衛は本当に強かった!
このシリーズも終わりに近い。登場人物が年を重ねるだけではなく、時代の流れも大きくうねりを見せる。そのうねりを、小兵衛や大治郎たちはどのように乗り越えて行くのだろうか?また、どのような形でシリーズが終わりを迎えるのだろうか?楽しみだ。
ゆこりん : 20:19 | 作者別・・いけなみしょうたろう