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2010年2月 1日

カッコウの卵は誰のもの(東野圭吾)


父娘2代にわたるトップスキーヤー。夢を目指し二人三脚でがんばってきた彼らには、誰にも言えない秘密があった。「何も知らずに成長した風美に真実を知らせるべきか?」緋田は苦悩する。そんな時、衝撃的な事件が起こった・・・。

「スポーツ科学の立場からふたりのDNAを調べてみたい。」柚木にそう言われ、緋田はかたくなに拒む。そこには、緋田自身にもはっきりしたことが分からない、風美の出生の秘密があった。真実と向き合うということは、緋田と風美の親子関係を決定的に変えてしまう。緋田はそのことに、強い恐れを抱いていた。だが、緋田の心は、ある事件をきっかけに激しく揺れ動く。「この父と娘にとっての最善の解決方法が、はたしてあるのだろうか?」読んでいて、絶望的な気持ちになっていく。「何がその人間にとって一番幸せなことか?」その思いに心が強く揺さぶられる。ラストは、安堵感も味わったが、「はたして、これでいいのか?」という思いもほんの少し感じた。でも・・・。やっぱりこれでいいのだろう。いつまでも仲のよい父娘であってほしいと、願うのみだ。

ゆこりん : 17:00 | 作者別・・ひがしのけいご