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2010年1月30日

暗殺者(池波正太郎)


偶然耳にした息子大治郎の暗殺計画。刺客となる波川周蔵は、並みの腕前ではない。危機感を抱いた秋山小兵衛は、背後に潜む黒幕を探り出そうとするが・・・。「剣客商売」シリーズ14。

今回のシリーズでは、剣客としての秋山小兵衛ではなく、ひとりの父親としての小兵衛を描いている。息子大治郎に迫る危機。何とか手を打たねばと、小兵衛は珍しくあせる。また、波川周蔵の剣の腕前を知り、「大治郎がやられるかもしれない。」という不安感も拭えないでいる。父親として息子を守ろうとする小兵衛に、大治郎への深い愛情を感じる。黒幕はいったい誰なのか?はたして大治郎の運命は?手に汗握る心境で読み進めた。ラストは意外な展開になったが、読み手としてはほっとさせられるものだった。「剣客商売」シリーズは短編が多いが、この作品は珍しく長編だ。だが、最後まで面白く飽きることなく読める、魅力的な作品だと思う。

ゆこりん : 14:00 | 作者別・・いけなみしょうたろう