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2009年12月 7日

勝負(池波正太郎)


「負けてやれ」
意外な言葉に、大治郎は驚いて父小兵衛を見た。試合は精根のかぎりをつくして戦うものだという信念を捨てられない大治郎は、全力で谷鎌之助に立ち向かうが・・・。表題作「勝負」を含む7編を収録。「剣客商売」シリーズ11。

誰が見ても明らかに実力が上だからといって、必ず勝つとは限らない。いつもの力を発揮できるかどうかは、おのれの心の状態により左右される。大治郎と鎌之助の試合もまさにそうだった。勝負というのは不思議なものだと、表題作の「勝負」を読んでそう思った。
そのほかに印象深かったのは、ある男の哀れとも思える生き様を描いた「その日の三冬」、男と女の不思議な縁を面白おかしく描いた「時雨蕎麦」、思わぬなりゆきから敵討ちが首尾よく運んだ話を描いた「助太刀」だ。
また、この作品では大治郎・三冬夫妻の子供が誕生する。その子がこれからどう成長していくのか?次回の作品を読むのが楽しみだ。

ゆこりん : 18:16 | 作者別・・いけなみしょうたろう