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2009年12月 5日

そうか、もう君はいないのか(城山三郎)


かけがえのない存在だった妻・・・。出会い、結婚生活、そして妻が病に倒れ逝ってしまうまでを切々と描いた、城山三郎の「遺稿」をまとめた作品。

「二人三脚」。この言葉がふさわしい夫婦の歩みだった。出会いから結婚までの不思議な縁。ほほえましい結婚生活。そして悲しい別れ。どの文章にも、作者の妻へのあふれんばかりの愛情が感じられる。この作品には書かれることのなかった、つらいことや苦しいこともたくさんあっただろう。それらを、夫婦ふたり手をたずさえて乗り越えてきたに違いない。出会いがあれば別れがある。それは当たり前のことだけれど、作者と妻との別れには涙した。どれほどつらかったことか・・・。夫婦や家族の絆の大切さをあらためて感じさせてくれる、感動的な作品だった。

ゆこりん : 15:42 | 作者別・・し他