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2009年10月27日

新参者(東野圭吾)


小伝馬町でひとり暮らしをしていた45歳の女性が、何者かに絞殺された。彼女はなぜ殺されたのか?彼女を殺したのは誰なのか?練馬署から日本橋警察署に移ってきたばかりの加賀恭一郎の鋭い洞察力が、事件の真相を暴いていく。犯人は・・・?

最初は単なる短編集だと思った。だが、読み進めるうちに、どの話もあるひとつの事件に関わっていることに気づく。初めのうちは、「こんなことまで聞き込みして、事件解決にどうつながっていくのだろうか?」と疑問に感じたが、作者は見事な構成力でばらばらの話を事件の真相へと収束させていく。加賀の、「何気ない行動に隠された真実を見抜く力」がしだいに犯人に迫っていく様には、ワクワクさせられた。「新参者」だからこそ見えるものもあったのだ。また、さりげないやさしさを見せるその人情味あふれる加賀の人柄も魅力的だった。読後も満足感を充分味わえる、面白い作品だと思う。

ゆこりん : 15:58 | 作者別・・ひがしのけいご