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2009年10月 2日

卒業(東野圭吾)


卒業を控えた大学4年の秋、仲のよかった男女7人に悲劇が襲いかかる。アパートの一室で、その部屋に住む祥子が遺体となって発見されたのだ。自殺か?他殺か?密室状態の部屋で起こった事件は、さらに次の事件を引き起こした・・・。刑事になる前の学生時代の加賀恭一郎が登場!

密室での祥子の死。そしてさらなる悲劇が・・・。密室のトリックといい、次の事件のトリックといい、発想が見事だった。茶道にまつわるトリックは、何度も何度も読み返した。茶道の「雪月花之式」はこの作品で初めて知ったので、とても興味深かった。この作品はミステリーとしての面白さも充分だったし、大学4年の、社会に巣立とうとしている男女の青春物語としても、読み応えがあった。友情や信頼関係の問題、そして、お互いがお互いを理解し合っているという確信が揺らいでいく様など、読んでいてほろ苦さも味わった。
教師を目指していたはずの加賀恭一郎がなぜ父親と同じ職業を選んだのか?その理由は「悪意」という作品の中で明かされているので、そちらもぜひ♪

ゆこりん : 16:21 | 作者別・・ひがしのけいご