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2009年7月19日

辻斬り(池波正太郎)


闇の中、提灯を片手に歩く秋山小兵衛を襲った3人の男たちはいったい何者なのか?辻斬りの正体を探っていくと、意外な人物が浮かび上がってきた・・・。表題作「辻斬り」を含む7編を収録。「剣客商売」シリーズ2。

この作品の中で心に残ったのは、ひとりの男の生きざまを描いた「鬼熊酒屋」だ。不器用な生き方しかできない男が、人生の最後に見せた姿が印象的だった。この男に対する秋山小兵衛のさりげないやさしさも心憎い。だが、やさしい小兵衛も立場上人の恨みを買うこともある。「妖怪・小雨坊」の話では、その恨みの恐ろしさをまざまざと見せつけられた。反面、「小雨坊」の生い立ちや境遇にホロリとさせられるものもあったが。
この作品の中に出てくる登場人物は、だれもが魅力的だ。彼らのこれからの活躍は?また、大治郎と三冬の関係は?先が楽しみなシリーズだ。

ゆこりん : 15:22 | 作者別・・いけなみしょうたろう