« 土井徹先生の診療事件簿(五十嵐貴久) | メイン | おそろし(宮部みゆき) »

2009年5月19日

警官の血(佐々木譲)


昭和23年、安城清二は警察官になった。だが彼は、謎の死を遂げる。清二の息子民雄も警察官になるが、殉職という過酷な運命が待っていた。そして・・・。民雄の息子和也も、警察官として祖父や父と同じ道を歩み始める。和也は、祖父の死に隠された真実を暴こうとするが・・・。

昭和23年、軽い気持ちで警察官の採用試験を受けた清二だが、しだいに警察官の仕事にやりがいと生きがいを見出していく。警察官としてのさまざまな職務が克明に描写されていて、とても興味深く読んだ。また、警察官というのは常に危険と隣りあわせだということも、改めた感じさせられた。
清二の息子民雄の警察官としての人生も、考えればあわれだった。「宮仕え」の悲しさ。自分の意のままにならない任務は、彼の人生を狂わせてしまった。
祖父や父の思いはやがて和也へと引き継がれていくことになるのだが、祖父の死の真相にたどり着いた後の和也の行動には驚きとしたたかさを感じた。時代や、置かれている立場や状況などで、警察官としての行動がこうも違うものなのか!
単行本上下巻合わせて800ページ近い大作で、読み応えのある作品だった。

ゆこりん : 17:42 | コメント (2) | 作者別・・さ他


コメント

佐々木譲さんはベテラン作家と思います
が、恥ずかしながら読んだことがない
と思います、たぶん。

コテコテのサラリーマンのおっちゃんが
電車ん中で読んでる系のサスペンス
と思っていて、アト回しになって
いたというか。

でもゆこりんさんの感想を読むと、
コテコテのひとことで片付けては失礼
だぜ~・・・ですよね。

そうそう、ミシェルが期待するのは
その「読み応え」ですよ。

佐々木さんの作品も早く読まないと
って思いましたとさ。

投稿者 ミシェル : 2009年5月20日 07:45

>ミシェルさん
私は佐々木さん初読みでした。
かなりの長さだけれど、親子3代の話なので
飽きずに読めました。
読み応えはあります!ただ・・・。
ミステリー的な要素は希薄な感じです。
ホームページでの私の評価は、5段階中3でした。
(*^o^*)

投稿者 ゆこりん : 2009年5月20日 16:14