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2009年5月12日

土井徹先生の診療事件簿(五十嵐貴久)


「殉職した父の後を継いだわけではないけれど・・・。」
キャリア組として警察庁に入り、その後24歳にして南武蔵野署の副署長となった令子だが、毎日暇をもてあましていた。ある日彼女は、「命を狙われている。」と訴えるノイローゼ気味の老人を訪ねる。そこで出会った獣医の土井先生は、動物と話ができるというのだが・・・。「老人と犬」を含む7編を収録。

動物と話ができる土井先生。令子が捜査に行き詰ったとき、彼は救いの手をさしのべ謎解きをしてみせる。
とても面白い設定なのだが、内容に物足りなさを感じる。動物と話ができ、それが事件解決につながっていく過程をもっと深く描いてほしかった。さらりと描かれすぎている。動物と話ができるという特殊な能力も、あまり生かされていないように思う。また、7編目の「警官殺し」は、この先があると暗示しているのか?すっきりしない。令子の父の死の真相も明かされていないし・・・。ずいぶん中途半端な終わり方だと思う。作者は、続編を書くつもりなのだろうか?

ゆこりん : 16:13 | 作者別・・いがらしたかひさ