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2009年5月11日

メリーゴーランド(荻原浩)


生まれ故郷の駒谷市に戻り市役所に就職した遠野啓一は、赤字続きのテーマパーク「アテネ村」の再建を任される。民間の会社勤めの経験を活かし再建計画を遂行しようとする啓一だが、お役所の旧体制が行く手を阻む。はたして「アテネ村」はよみがえるのか?

新しいことには手を出さない。何かするときには上の者の顔色をうかがう。頑固でわからずやばかりの理事たちに手を焼きながら、彼は何とか打開策を見出そうとする。涙ぐましい努力をユーモラスに描いてはいるが、そこには悲哀感が漂う。努力しても、がんばっても、なかなか報われない。民間企業でもお役所でも、働くということは厳しいものだ。
「アテネ村を黒字にすることができるのか?」
そこにもいろいろな人たちの思惑が複雑に入り組んでいた。啓一の孤軍奮闘はいったい何だったのか?彼はむなしさを感じなかったのか?「これでいいのだろうか。」読んでいて、そうつぶやかずにはいられない。読後にちょっぴりほろ苦さが残る作品だった。

ゆこりん : 15:27 | コメント (2) | 作者別・・おぎわらひろし


コメント

あ、ミシェルもこれ、読みましたよ。
サラリーマンをやっておりますと、この
荻原先生の「メリーゴーランド」のよう
な小説は、リアリティあるなぁ、分かる
分かる~って感じで読めるんですよね。

でも「会社にいると流れには逆らえな
いんだよ」って舌をペロンと出している
自分にも気づいたりして・・。

情けねぇっす(涙)。

投稿者 ミシェル・デマルケ : 2009年5月11日 19:19

>ミシェル・デマルケさん
こんにちは~♪
会社にいると流れには逆らえないですよね。
私も働いているときは何度もそういう
経験をしました。
ラストはホントにほろ苦かったです。
でも・・・。ハッピーエンドというわけには
いかないですよね。お役所だもの(--)

投稿者 ゆこりん : 2009年5月12日 14:33