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2009年4月15日

人間の檻 獄医立花登手控え4(藤沢周平)


「明日、ご赦免になったら先生を狙うぜ。」
そういった男の正体は?登をうらむ理由とは?過去の因縁と、登の旅立ちを描いた「別れゆく季節」を含む6編を収録。獄医立花登手控えシリーズ4。

今回のどの話も今までの作品同様、人間の心を興味深く描き出している。その中で特に、過去の罪が何十年もたってから思わぬ形で現れる怖さを描いた「戻ってきた罪」、自分を慕ってくれる男の心を利用し罪まで犯させた女を描いた「女の部屋」などが印象的だった。人の心は強くもあり弱くもあり。
さて、どうなることかと思った登とおちえの関係も、明るい未来を予測させる形で終わった。読者の欲を言わせてもらえば、もう少しこの先が読みたかった。登がどう成長していくのか?おちえや叔父、叔母とのこれからの関係は?楽しみながら読んできた獄医立花登手控えシリーズだが、これで終わりかと思うと少々残念な気がする。

ゆこりん : 16:14 | 作者別・・ふじさわしゅうへい