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2009年4月12日

愛憎の檻 獄医立花登手控え3(藤沢周平)


娘の命を救ってくれたお礼にと、登に情報提供した男が牢の中で殺された。その情報とは、一家七人を皆殺しにして金を奪った黒雲の銀次に関するものだった。誰が殺したのか?登が怪しいとにらんだ男の女房は、いとこのおちえの友だちのおあき!登はどう解決するのか?「奈落のあおき」を含む6編の作品を収録。獄医立花登手控えシリーズ3。

人の善意を利用しようとするしたたかな女の話、情報提供した男をあっさりと始末する冷酷な男の話、自分の素性を隠すために関係のない者の命を奪う男の話、親切そうな態度の裏に恐ろしい心を隠し持つ男の話など、どの話もやりきれない思いがした。だが、どの話にも悲劇を乗り越えて前向きに生きていこうとする人たちの姿も描かれていて、救われる思いもした。まさにタイトルどおりの、愛憎が織りなす物語ばかりだ。最初から最後まで、飽きることなく楽しめる作品だと思う。読後も満足♪

ゆこりん : 14:22 | 作者別・・ふじさわしゅうへい