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2009年3月30日

凍りのくじら(辻村深月)


カメラマンだった父が失踪したあと、理帆子は母と二人で暮らしてきた。だが、母が病に倒れ、命の期限を宣告される。そんな理帆子の前に現れたのは別所あきらという青年だった。彼のやさしさや温かさが理帆子の心を少しずつ元気にしていくが、昔の恋人若尾が執拗に理帆子にまとわりつき、事件が起こった!

各章のタイトルがドラえもんの道具なので最初は軽い内容なのかと思ったが、実際はかなりシリアスなものだった。理帆子とかつての恋人岩尾の関係、母の病気、父の友人の松永と息子の郁也、そして理帆子の心を癒してくれた別所。さまざまな人間の絡みの描写が見事だと思う。特に、壊れていく岩尾と理帆子の関係は何とも言えない。別れてしまったはずなのに、未練を残す岩尾。そんな岩尾を振り切れずあいまいな態度をとる理帆子。かなり、ハラハライライラさせられた。それと同時に、壊れていく男の心の怖さも味わった。ラストは、理帆子の成長を思わせるものがあり、無難にまとめられていた。別所と理帆子の関係も心温まる。やさしい感じがする作品だった。

ゆこりん : 15:20 | コメント (5) | 作者別・・つじむらみづき


コメント

私も読みました♪
この作品の登場人物の
理帆子と郁也は
他の辻村さんの作品で
何度か出てくるんです!!

「スロウ・ハイツの神様」が
すごくおすすめです。

投稿者 悠佳 : 2009年3月30日 23:30

すいませんっっ!!
ゆこりんさん前に
読まれてますよね。。。
(スロウ・ハイツの神様)
うっかりしてました(T-T)

投稿者 悠佳 : 2009年3月30日 23:39

>悠佳さん
こんにちは~(*^o^*)
出かけていたので、返事がすっかり遅くなりました。
8日ぶりにネットです(^^;
理帆子と郁也について調べてみました。
そうだったんですか!!知りませんでした(^^;
貴重な情報をありがとうございました。
辻村さんの作品、これからもどんどん読むつもりです。

投稿者 ゆこりん : 2009年4月 8日 14:42

こんばんわ。
重かったですね~読んでいて辛かったところがありました。
でも、最後のカラクリにはビックリでした。気付かなかったです。
辻村作品は登場人物が結構リンクしているらしいですね。
私もどんどん読んでいきます。

投稿者 苗坊 : 2009年4月12日 00:05

>苗坊さん
こんにちは~♪
重かったですね。でも、理帆子のあいまいな態度には
イライラさせられました。もっと毅然とした態度を
とれば、ああいう悲劇は防げたのかも・・・。
ラストは本当にびっくりしました。
気づきませんでした(^^;

投稿者 ゆこりん : 2009年4月12日 13:29