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2009年3月29日

風雪の檻 獄医立花登手控え2(藤沢周平)


登の友人でもあり柔術仲間でもある新谷弥助が姿を消した。行方を追う登だが、弥助には容易に会うことができなかった。だが登は、思いがけない場所で弥助と対峙することになる。悪事をはたらく者たちの背後に、弥助はいた!獄医立花登手控えシリーズ2。

今回は、姿を消した弥助の消息と絡み合わせる形で物語が進んでいった。前作同様、さまざまな人間ドラマが繰り広げられる。作者の、人の悲哀の描写には、読んでいてぐいぐい惹きつけられた。
この本の中には5編の短編が収録されているが、一番印象に残ったのは「処刑の日」だ。限られた時間の中、真の下手人を追う登たちの緊迫した状況の描写がすばらしかった。また、登と、叔父、叔母、ちえとの関係の微妙な変化も楽しい。特に、登とちえの関係がこれからどうなっていくのかがとても気になる。
時代劇が苦手という人でも、読みやすいので楽しめる作品だと思う。読後の余韻も心地よかった。

ゆこりん : 14:52 | 作者別・・ふじさわしゅうへい