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2009年3月 7日

明治・父・アメリカ(星新一)


福島の田舎で育った星一は、自分自身で学資を稼ぎ、単身渡米する。そこで彼が見たこと体験したことは?さまざまな困難を乗り越え、おのれの信念を貫き通し、後に星製薬を創業した星一を、息子である星新一が鮮やかに描いた作品。

「どんな苦境に立たされてもあきらめることなく努力を続ければ、必ず夢はかなう。」
その典型的な例を見るような作品だ。どんな困難も、工夫と知恵と勇気と度胸で乗り越えていく。読んでいてすがすがしさを感じる。明治時代・・・。今のように物が豊かな時代ではなかったと思うが、未来に希望を抱くことのできるとてもいい時代だったような気がする。「自分たちの手でこれからの日本を作り上げていく。」人々の、そういう意気込みが感じられる。また、当時のアメリカ留学の描写も、とても興味深かった。平和で穏やか、そしてのびのびとした自由さにあふれている。「古きよき時代」そんな言葉がぴったりだ。
とても読みやすく、読後もさわやかさを感じる作品だった。

ゆこりん : 14:38 | 作者別・・ほ