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2008年12月17日

玻璃の天(北村薫)


ステンドグラスを突き破り転落死した男には、人の恨みを買うような何かがあったのか?ステンドグラスに開いた穴の謎に迫る表題作「玻璃の天」を含む3編を収録。

時代は昭和初期。日常の中で起きるさまざまなトラブルや謎に迫るのは、大きな屋敷に住む令嬢と女性運転手の二人だ。
3編の中で特に印象的だったのは「玻璃の天」だった。ステンドグラスに開けられた穴に込められたある人物の憎しみ・・・。それを見破った女性運転手の別宮だったが、その結果彼女自身のあまり触れられたくない過去までも暴かれることになってしまう。この話の展開は面白い。古きよき昭和初期の時代描写も、とても興味深く読んだ。ただ、この作品は「街の灯」の続編なので、そちらから先に読んだほうが話のつながりが見えてよかったのではないかと思った。読む順番を間違ってしまった・・・。これから読む人には、順番どおりに読むことをオススメしたい。

ゆこりん : 17:57 | 作者別・・きたむらかおる