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2008年12月22日

烈火の月(野沢尚)


囮捜査でホームレス襲撃犯に大けがを負わせても平然としている。上司の言うことなどまともに聞かない。そんな型破りな刑事が、麻薬取締官の女性とコンビを組んだ。薬の売人の男が殺された事件の先には、得体の知れない闇の世界が広がっていた・・・。

42歳でバツイチの刑事吾妻諒介と30歳で同じくバツイチの烏丸英子。2人は薬物のルートを追いかけるのだが、裏社会の陰湿さの描写は読んでいて目を背けたくなった。そういう箇所がいくつもある。犯罪に手を染める者を次第に追い詰めていく過程はスリリングで面白さも多少は感じるが、不快感のほうが勝ってしまう。英子に降りかかる災難も、読むに耐えない。どちらかというと男性向きの作品のような気がする。ラストも救いがなく、後味の悪い読後感だった。

ゆこりん : 16:10 | 作者別・・のざわひさし