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2008年12月 9日

ロートレック荘事件(筒井康隆)


ロートレック荘と呼ばれる別荘で、一人また一人と殺されていく。犯人はロートレック荘の中にいる!いったい誰が?なぜ?銃声とともに始まった惨劇の結末は?

私が読んだのは単行本だが、読んでみて表紙に書かれていた「映像化不能。前人未到の言語トリック。」という意味がよく分かった。読み手は、知らず知らずのうちに思い込まされていた。こういうふうに、思い込まされてだまされたという本は他にもある。乾くるみの「イニシエーション・ラブ」と歌野晶午の「葉桜の季節に君を想うということ」だ。「イニシエーション・ラブ」の方は、見事にだまされたという爽快感のようなものがあった。「葉桜の・・・」の方は、こういうトリックはありなのかと少々疑問に感じる部分があった。けれど、どちらも読み返すのが楽しかった。だがこの作品は、ただ確認するためにだけページをさかのぼる・・・そんな感じでつまらなかった。本の表紙には「この作品は二度楽しめます。」とも書いてたあったのだが、疑問だ。読後もすっきりとはせず、はっきり言って満足できる作品ではなかった。

ゆこりん : 15:30 | 作者別・・つ他