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2008年11月28日

氷の華(天野節子)


夫の愛人だと名乗る女性からの電話の内容は、恭子のプライドをずたずたに引き裂いた。恭子はその女性を毒殺するが、なぜか違和感を覚える。電話で話していたような妊娠の事実はなかった。さらに、恭子が見た夫と愛人関口真弓の二人が写った写真も、警察が駆けつけたときには現場から消えていた・・・。「罠にはめられた?」気づいた恭子が取った行動は?

愛人からの電話は、恭子を罠にはめようと仕組まれたものだった。だが、たった1回の電話で、しかも今までに一度も会ったことのない女性がいくらひどいことを言ったとしても、心の中に芽生えた殺意をすぐに実行に移そうとするだろうか?あまりにも短絡的過ぎるような気がする。中盤の部分は面白いのだが、そこに行くまでの過程と、後半の事件の顛末にはかなり疑問な点がある。完璧に他人の行動を読むことは不可能だと思うのに、作者は自分の都合のいいようにストーリーを展開している。そこにかなりの不自然さを感じた。ラストも、私個人としては唖然!使い古されたサスペンスドラマの結末・・・そんな感じだった。もう少し考えてほしかった。そうすれば、読後は違った印象になったのではないだろうか。残念!

ゆこりん : 17:38 | 作者別・・あ他