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2008年10月26日

いっちばん(畠中恵)


相変わらず繊細でひ弱で、いつも寝込んでいる一太郎。そんな彼のもとに持ち込まれる難事件。はたして一太郎は無事解決できるのか?表題作を含む5編を収録。「しゃばけ」シリーズ第7弾。

表題作「いっちばん」では、妖たちのオンパレード。それぞれてんでバラバラに若だんな一太郎を喜ばせようと画策するのだが、なかなかうまくいかない。事態はドタバタのままラストになだれ込み、気づいたらスリの事件も解決してきちっとまとまっていたという、実にうまい話の展開だった。妖たちと一太郎の信頼関係も、ほのぼのとしてとてもよかった。「餡子は甘いか」では、修行に出た栄吉がたっぷりと登場し、こちらも楽しめた。相変わらず菓子作りはへただが、菓子作りへの情熱はすごい。「がんばれ!」と声をかけたくなる。また、一太郎との友情もほほえましい。「いっぷく」では、過去のシリーズに登場した「冬吉」が再び登場して、ちょっと感動だった。そのほかの作品もとても楽しめた。人の心の奥深さもじっくりと描かれていて、いろいろ考えさせられる部分もあった。このシリーズの中ではベスト3に入る面白さだった。

ゆこりん : 22:11 | 作者別・・はたけなかめぐみ