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2008年10月17日

ノルウェイの森(村上春樹)


どんなに時がたとうとも、決して忘れられない人がいる・・・。
かなうことのなかった恋を、哀しく歌い上げた作品。

主人公と直子との恋。それは、表面上は静かで穏やかに見えた。けれど、心の中ではお互いがお互いを激しく求め合っていた。だが、求めても求めても決して得ることのできないものもある。二人は、寂寞感を抱えながらも一生懸命生きようとしたのだが・・・。
ほかに道はなかったのか?こんなにも哀しい生き方しかできなかったのか?激しい哀しみは、時に人から生きる意欲さえも奪ってしまう。そこからどう立ち直り、どう自分を再生すればいいのだろうか?読んでいて胸が痛い。ラストに、ある女性が主人公に言った
「痛みを感じるのなら、その痛みを残りの人生を通してずっと感じ続けなさい。そしてもし学べるものなら、そこから何かを学びなさい。」
という言葉が強く心に残った。

ゆこりん : 16:48 | 作者別・・むらかみはるき