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2008年10月 3日

藪の中の家(山崎光夫)


1927年(昭和2年)7月24日、芥川龍之介自殺!!当時は致死量の睡眠薬によるものと言われていた。だが、主治医の日記の中に驚くべき真相が隠されていた。著者がたどりついた結論とは?新田次郎文学賞受賞作品。

「致死量の睡眠薬を芥川龍之介はどこから入手したのか?」
素朴な疑問が、さらにさまざまな疑問を呼び起こす。芥川の死因は当時新聞に書かれていた通りなのか?著者は未発表の主治医の日記を丹念に読み、やがて真相にたどり着く・・・。
それにしても、芥川が自ら命を絶つまでになしたこと、その用意周到さには驚かされた。準備を進めていく彼の胸中にあったものはいったい何だったのだろう。もはや死ぬことでしか癒すことのできない精神状態とは?今まで知らなかった芥川龍之介の一面が見えてくる。もし、著者が主治医の日記を発見しなかったら、真相はいまだ闇の中だっただろう。その執念には頭が下がる。芥川という一人の人間を知る上でも貴重な作品だと思う。一読の価値あり♪

ゆこりん : 16:16 | 作者別・・や他