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2008年9月25日

ジーン・ワルツ(海堂尊)


産婦人科医曾根崎理恵が閉院予定の病院で行なった不妊治療。その中で、55歳の女性に代理母の疑いが!理恵の先輩清川が真相を探ろうとするが、理恵の真意の恐ろしさを見ることになる・・・。理恵のやったことは許されることなのか?

生命操作・・・。それはまさに神の領域と言わざるを得ない。その領域を、ヒトは侵す権利があるのだろうか?確かに、不妊に悩む人たちに救いの手をさしのべることにはなるのだが。だが、自然の摂理を破壊するという危険性も充分秘めている。モラルを逸脱すれば、見ず知らずの他人の卵子と精子を受精させ、代理母に出産させることもできるのだ。医学の発達がはたしていいことなのか悪いことなのか、この作品を読んでいると判断がつかなくなってくる。せめて悪用されないことを願いたい。そして世の中の医師たちには、ヒトとしての道を踏み外さない医療を切に望みたい。いろいろな問題を含んだ作品だった。

ゆこりん : 16:28 | 作者別・・かいどうたける