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2008年9月18日

やさしい訴え(小川洋子)


夫との生活に疲れ、逃れるように山あいの別荘に来た「わたし」。そこで出会ったのは、チェンバロ作りをしている新田氏とその弟子の薫さんだった。「わたし」はしだいに新田氏に振り向いてほしいと思うようになるのだが・・・。

冷静さを装った何気ないしぐさや言葉、目線の描写などが、逆に、心に燃えている激しい情熱を感じさせる。だが、「わたし」がどんなに新田氏の心をつかもうと努力しても、新田氏と薫さんとの間には入れない。「振り向いてほしいのに振り向いてくれない・・・。」嫉妬に苦しむ「わたし」の様子が、生々しく描かれている。人の心の中に隠されている感情描写が絶妙だった。ひとつ上の大人の恋愛を味わうことができる作品だと思う。

ゆこりん : 19:00 | コメント (2) | 作者別・・おがわようこ


コメント

こんばんは☆
わー、小川さんは好きな作家の一人なのに、この本は存在すら知りませんでしたぁ。
けっこう前に出てたんですね・・・。
地元の図書館には小川さんの本はほとんど揃ってるから全部あるのだろうと油断してました(苦笑)
これはぜひぜひ購入して読まなければ!!
ゆこりんさんに感謝です(^_^)

投稿者 ともみ : 2008年9月20日 01:01

>ともみさん
こんにちは。
うまくコメントが反映されず、返事がとても
遅くなってしまいました。ごめんなさい!!
小川さんの本はほとんど読んでいるのですか?
私も小川さんの書く文章、好きです♪
もっといろいろな作品を読んでみたいと
思っています。
ともみさんの感想もお聞きしたいです(#^_^#)

投稿者 ゆこりん : 2008年9月29日 15:06