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2008年9月 1日

三十か月(シルト・ウォルターズ)


第2次世界大戦中、ドイツがおこなったユダヤ人根絶計画。その魔の手からユダヤ人家族を救うべく自宅にかくまったウォルターズ夫妻だったが、それが三十か月に及ぶとは想像もしていなかった・・・。衝撃のノンフィクション。

見つかれば、かくまった者もかくまわれた者も命はない。そういう危険を承知の上で、ウォルターズ夫妻はユダヤ人家族4人を自宅にかくまうことにした。不安と緊張と恐れとで、見も心も極限状態だっただろう。だが、最後までかくまい続けた行為はとてもりっぱだった。三十か月の間には何度か危機があった。それを夫婦2人で乗り切った。その知恵や勇気には感心するばかりだ。ウォルターズ夫妻はスパニエル一家4人の命を救っただけではない。そこからつながっていく何百何千という命を救ったことになるのだ。
「ひとつの命を救う者は全世界を救う」
ユダヤ教の法典「タルムード」に書かれているという言葉が、とても印象的だった。

ゆこりん : 17:26 | 作者別・・し他