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2008年8月27日

鎮火報(日明恩)


水をかけると燃え上がる不思議な現象。火元は老朽化した共同住宅。住んでいたのは不法滞在の外国人。似たような火事が続けて起こり、雄大は疑問を感じる。調べていくうちに、一連の火事の真相の陰には、現代社会の抱える問題が横たわっていることに気づくのだが・・・。

「お前みたいなバカは消防士にはなれない!」「絶対なってやる!」売り言葉に買い言葉。そして雄大は消防士になった。軽蔑していた父と同じ職業に愛着など持てるはずもない。だが、いつしか雄大は消防士という職業に誇りを感じ始めていた。今回のできごとでは、消防士としての自分、一人の人間としての自分・・・このはざ間で揺れ動く雄大の心情がよく描かれていた。だが、彼の取った行動があれでよかったのか?この部分に疑問が残る。ラストはちょっとほろ苦さを感じた。消防士の仕事の内容もよく分かり(作者さん、よくぞここまで調べました!)、まあまあ面白い作品だった。

ゆこりん : 19:58 | 作者別・・た他