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2008年7月20日

愛しの座敷わらし(荻原浩)


東京から田舎へ引っ越すことになった高橋家。一家の主人晃一が選んだ家は古民家!!その古民家で起こる不思議なできごとの数々は、座敷わらしのしわざだった・・・。バラバラになりかけた高橋家は座敷わらしとのふれあいを通して、いつしか家族の絆を取り戻していく。

読んでいる途中で、必要以上の描写にダラダラとした感じを抱いたが、それを補って余りある内容だった。家族の心がバラバラになりかけていたときに現れた座敷わらし。晃一・史子夫妻、娘の梓美、息子の智也、そして晃一の母澄代。それぞれの抱える問題は、いつしか和らいでいく。座敷わらしは福をもたらすと言われているが、福をもたらすのではなく、身近にありすぎて気づかない幸福に気づかせてくれる存在なのではないかと思う。高橋家の人たちもそれに気づいたとき、再び家族の絆を取り戻す。「私たちは、大切なものを犠牲にしたリ、失くしたり、忘れたりしながら毎日の生活を送っている。」そのことを強く感じずにはいられない。座敷わらしの生まれたいきさつにはホロリとさせられたが、全体的にほのぼのとした心が温まる作品になっている。ラストの1行は絶妙!輝いている♪

ゆこりん : 15:59 | 作者別・・おぎわらひろし