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2008年7月11日

昭和俠盗伝(浅田次郎)


昭和の初め、日に日に戦争色が濃くなっていく中、ついに寅弥が我が子のようにかわいがっていた勲に召集令状が届いた。戦争に突っ走ろうとする日本の国に対し、批判を込めて松蔵たちはある企みを計画した・・・。表題作を含む5編を収録。「天切り松 闇がたり」シリーズ4。

義理や人情を重んじ生きてきた松蔵たちだったが、時代が昭和になり日に日に戦争が暗い影を落とすようになる。寅弥や勲のためにどえらいものを盗もうとする松蔵たちを描く「昭和俠盗伝」、永田少将を斬殺した相沢中佐を描く「日輪の刺客」「惜別の譜」、愛新覚羅溥傑と浩を描いた「王妃のワルツ」は、人々の悲哀がにじみ出ていて、とても切なかった。狂気の時代へと突入する日本・・・。これから、安吉は?寅弥は?栄治は?常次郎は?おこんは?もっともっと松蔵に語ってもらいたいと思った。

ゆこりん : 14:33 | 作者別・・あさだじろう