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2008年7月 3日

香菜里屋を知っていますか(北森鴻)


工藤はいったいどこへ行くのか?店の名前「香菜里屋」に込められた思いとは?「香菜里屋シリーズ」完結編。

このシリーズもこれで終わりかと思うと、読んでしまうのがとてももったいなく感じた。「香菜里屋」の雰囲気、素敵な料理、そして工藤の謎解き、どれもがいつもと同じで心地よい。こんなお店が実際にあったならと、今回も読んでいて何度も思ってしまった。この作品では、前回までのシリーズに登場した人たちも再び登場して、完結編にふさわしい構成になっている。ただ、工藤が独立したきっかけ、「香菜里屋」の店の名前の由来、工藤の秘密など、ずっと知りたくてうずうずしていたものが意外にあっさりだったので、拍子抜けだった。もっと余韻が残る展開を期待していたのだが。ともあれ、工藤がまたどこかで「香菜里屋」を開いてくれたなら、こんなにうれしいことはない。そのことを期待したい。

ゆこりん : 14:13 | 作者別・・きたもりこう