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2008年6月28日

残俠(浅田次郎)


松蔵は寅兄ィと二人初詣にやってきた。そこで、あざやかな長刀使いの老人に出会う。その老人はただ者ではなかった。彼の名は山本政五郎・・・。死んだと言われてきた清水次郎長の子分、小政だった!!表題作を含む8編を収録。「天切り松 闇がたり」シリーズ2。

夜盗の声音「闇がたり」で語る不思議な老人松蔵の話は、多くの人をひきつける。小政の、一宿一飯の義理を通そうとする姿、目細の安吉の鮮やかな中抜き、嘘を語らせたら天下一品の常兄ィの恋、おこんを慕う軍人、そして松蔵と初菊のひととき、松蔵の父の死。どの話も、義理と人情にあふれていて心にしみる。そして、登場する安吉一家の男たちの一本筋が通った生き方も、読んでいて小気味よい。ただ、話の内容があまりにも現実離れしてるのが少々気になる。楽しめる作品だとは思うが。

ゆこりん : 19:52 | 作者別・・あさだじろう