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2008年3月18日

ひまわりの祝祭(藤原伊織)


妻の自殺後、世捨て人のような生活を送っていた秋山だったが、かつての上司村林が現れた日から運命が動き始める。ファン・ゴッホの名画「ひまわり」の8枚目は本当に存在するのか?さまざまな男たちの思惑がうごめき始めた・・・。

この作品の柱は二つ。妻の自殺の真相と、名画「ひまわり」の8作目の存在だ。後半でもっとこの二つが絡んでくるのかと思ったが、ずっと平行線のままだった。8作目の「ひまわり」がなぜ世の中に出てこなかったのか、その理由もすっきりとしない。ストーリーもそれほど盛り上がるわけでもなく、淡々と展開されていく感じだった。登場人物の描写がもう少しあれば、ひとりひとりの個性がもっと見えてくるのではないだろうか。結末も物足りない。想像はついたが、もっと別の結末を考えてもよかったと思う。最後まで飽きずに読めることは読めるが、読後はいろいろな不満が残る作品だった。

ゆこりん : 16:29 | 作者別・・ふじわらいおり