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2008年2月24日

有頂天家族(森見登美彦)


父狸、下鴨総一郎が鍋にされこの世を去った。遺されたのは母狸と4兄弟狸。父の弟でありながら仲が悪い夷川家、落ちぶれ果てた天狗の赤玉先生、先生の思い人美女弁天・・・。個性豊かな狸、天狗、そして人間が繰り広げる奇想天外な物語。

主人公は狸。登場するものたちも、狸、天狗、そして人間と種々様々。父亡き後、4兄弟は力をあわせて宿敵夷川家と戦う・・・。繰り広げられる人間ドラマ、いや狸ドラマの展開は、読み手の想像を絶する。ハチャメチャなようだが、そこにはピシッとした一本の筋が。作者の構成力の見事さがうかがえる。父総一郎が命を落としたのはなぜか?井戸の中の次男はどうなるのか?下鴨家と夷川家の争いの結末は?天狗の赤玉先生と弁天のその後は?内容はてんこ盛りだが、それらをきちっとラストでまとめ上げるのは見事!ただ面白いだけではない。狸の世界を通して描かれている温かな家族関係、親子関係、兄弟関係は感動モノ♪読後感もよかった。

ゆこりん : 14:11 | 作者別・・も他