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2008年2月12日

口笛吹いて(重松清)


ジュースの自販機を売り込みに来た会社で働いていたのは、少年の頃のヒーローだった晋さんだった!懐かしさがこみ上げる小野だが、晋さんこと吉田晋一はあまり恵まれた人生をおくってはいなかった・・・。表題作「口笛吹いて」を含む5編を収録。

普通に生きていこうとするだけでも大変なときがある。何気ない日常生活の中のちょっとしたほろ苦い出来事を、作者は温かなまなざしを向けて描いている。できれば今の状況から抜け出したい・・・。そう思いながらもがき続ける人がいる。読んでいて「がんばれ!」と思わず声に出して応援したくなる。「今すぐに状況は好転しないかもしれない。でも、決してあきらめないでほしい。」そんな作者の思いもこの作品にはあふれている。切ない場面もあるけれど、読んでいると生きる力を与えられているような気がしてくるステキな1冊だった。

ゆこりん : 15:08 | 作者別・・しげまつきよし