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2008年2月 5日

非常階段(コーネル・ウールリッチ)


「暑くて眠れない。」
バディは非常階段に出たが、そこで衝撃的な事件を目にしてしまう。一人の男がナイフで刺し殺された!だが、うそつき少年と思われているバディの言うことを、誰ひとり信じようとはしなかった・・・。表題作「非常階段」を含む7編を収録。

7編のうち特に印象に残ったのは「ぎろちん」「眼」「非常階段」だ。「ぎろちん」では、死刑を執行される側とする側2人の男が描かれている。執行時間に間に合うように行かなければならない男だが・・・。まるで時計の針の音が聞こえてくるような迫力があった。「眼」では、動けなく声も出せない一人の女性の恐ろしい体験を生々しく描いている。何が起こるのか分かっているのに知らせる方法がない!その女性のもどかしさ、くやしさ、悲しさが、ひしひしと伝わってくる。「非常階段」では、うそつき少年バディが殺人犯に狙われ追い詰められていく様子が、すごくよかった。緊迫した状況を、作者は見事に描いている。そのほかの作品も面白かった。バランスの取れた短編集で読後も満足♪

ゆこりん : 15:15 | 作者別・・こ他