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2007年12月15日

空飛ぶ馬(北村薫)


幼稚園のクリスマス会のときに贈られた木馬。その木馬が夜中に消えた!だが翌朝には木馬はちゃんと元の場所に!!誰が何のために?真相は、思いやりにあふれたものだった。表題作を含む5編を収録。

日常の中にもちょっとした謎がある。主人公の女性と円紫師匠。この二人が見事にその謎を解いていく。人の何気ない行動、何気ない言葉。でも、じっくりと考察してみると、そこには思わぬ真実が隠されていることがある。5編とも、構成力がすごいと思った。切ない話ややりきれない話もあるが、どの話にもほのぼのとした温かさがあり、読み終えたあとほっとする気持ちになれるのが救いだった。殺人事件など起きないが、ミステリーを存分に味わうことのできる作品だった。

ゆこりん : 15:36